#136 元気なうちにできる相続対策

高齢になるほど認知症のリスクが高まります

もし認知症によって判断能力がなくなってしまうと、たとえば自分の判断で財産を処分することができなくなります

相続の現場においても、生前のご相談として認知症になった場合の対策についてお受けすることが増えてきました

そこで今回は、万が一の備えとして覚えておきたい「民事信託」「成年後見」「生前贈与」の3つの制度を簡単に紹介します

 

■資産の管理を任せる民事信託

 

民事信託を利用すると、本人(委託者)と財産を管理してくれる人(受託者)が信託契約を結ぶことにより、財産のの管理や運用を受託者に任せることができます

民事信託の大きなメリットとしては、認知症などによって委託者の判断能力が衰えてしまっても受託者が財産の処分などをできること、それから民事信託は遺言の役割も担うことができる(遺言代用信託)こと、などがあげられます

最近は不動産オーナーの方からの認知の対策手段として、検討する機会が増えてきました

 

■身上監護つきの成年後見

成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2つの種類があります

民事信託と大きく異なる点は、財産管理だけでなく身上監護まで任せることができることです

身上監護とは、施設の入所契約の締結や介護サービスの締結などの法律行為を行うことを指します

 

■生前贈与

生前贈与とは、他人に無償で財産を渡すことをいいます

生前贈与の際には受贈者に贈与税が課税されますが、いわゆる「暦年課税制度」のほか、一定の要件を満たす場合には「相続時精算課税制度」を選択することができます

 

●暦年課税

受贈者が1月1日~12月31日の1年間に受け取った財産の合計額が110万円を超えた場合、その超えた分に対して贈与税が課税されます

●相続時精算課税

贈与をする年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母から贈与を受ける年の1月1日において20歳以上の子または孫へ贈与する場合に選択することが可能です

一旦、相続時精算課税を選択した後は、暦年課税は利用できなくなります

この制度は、受け取った額の合計が2500万円を超えるまで贈与税は課税されなくなります。ただし相続時には、前贈与額分を相続額に組み込んで相続税を支払う必要があるので、いわば生前贈与の贈与税を相続時まで先送りする制度といえるでしょう

 

生前対策の選択肢は色々あります

しかし認知症を発症して意思能力のなくなると相続対策は利用できなくなります

なるべく元気なうちに対策を検討しておくことが大切でしょう

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