#110 『お盆』 家族と話す相続・終活のこと
普段別々生活している親族同士がお盆で顔を合わせることも増えるでしょう。普段は離れている親族が、そろって顔を合わせる貴重な機会なので、ぜひ相続について話し合ってみてください
今回は、行事などで集まった親族に、相続について話す際のポイントについてです
自身の相続準備を始めるためには、相続についての自分の考えを家族と共有することも大切です
家族が改まって顔を合わせる機会を作るのは難しいご時世ですが、お盆やお正月など、家族が集まる機会を有効活用して話を進めていきたいものです
相続について一部の家族にだけ話すとトラブルが起きてしまう危険もありますが、家族が比較的集まりやすい季節行事の際に話をすれば、公平感もあり、トラブルの回避にもつながるでしょう
弊所へのご相談が、お盆で親族が集まった際に話し合いをしてみたことがきっかけでした、という方も多くおられます
万一、急に相続が始まってしまうと、その後の事務処理は相続人にとって必要以上に手間のかかることになります。特に相続税の申告が必要な場合は、10カ月の期限があるため、あっという間に時間がなくなります。とても大事な話なはずなのにじっくりと話し合うこともできずあまり納得できていない中でハンコを押すことになったり、急な手続きの進め方に不信感が生まれて申告期限に間に合わず紛争案件になってしまうなど、「もし事前に故人が準備をしてくれていたら・・・」という案件は少なくありません。事前の話し合いは大切です
相続について家族に話をする際には、「家族の意見が自分と同じとは限らない」ということを心に留めておきましょう。たとえば、今の自宅にはいずれ息子が住むだろうと思っていたら、当の息子は売ろうと考えていたなど、話し合ってみることで実は思いが違っていた、などということは珍しくありません
お盆などで家族が集まる機会に、少しずつでも自分の考えを伝えていくことも、大切な“終活”の一つです
もちろん、財産内容によって話すべきことは変わりますが、何について話せばいいのか分からない、話し出しのきっかけになることとして、たとえば次のようなことを話してみるとよいでしょう
●自分の財産の内容と価値について
●不動産の名義をどうするか
●預貯金の相続手続をどうするか
●相続税はかかるのか、いくらになりそうか
このほか、所有している不動産の所在等や会員権・通帳・株券・生命保険証券の保管場所や、場合によっては借用書、連帯保証の契約書などについても、事情や置き場所を明らかにしておくとよいでしょう。エンディングノートなどを活用して整理することもおすすめです
財産分割についても、法定通りにするのか、それとは異なる自分の考えがあるのかを話します。この時、具体的な金額や内容まで言う必要はなく、全員に「こうしたいがいいか」と確認できれば十分です。揉めやすい内容なので、相続人以外の人には席を外してもらうとよいでしょう
相続は人生の総括の一部です。家族・親族と胸襟を開いて話すことから始めましょう