#107 遺言書 かける内容・かけない内容?

遺言書には基本的に何を書いてもかまいません

ただし、自由に書けることと、その記載に法的拘束力を持たせることとは、イコールではありません

法定拘束力を持つ遺言書の内容については限られています。また書き方に形式な誤りがあった場合には無効になることもあるので注意が必要です

今回は、遺言書の内容に関する規則やルールについて簡単にご説明します

 

遺言書には財産の分け方が書いてあるというイメージを持っている人が多いかもしれません。大まかにはその通りで、遺言書に書くことで法的拘束力を持つものは財産や身分、遺言の執行に関することに限定されています

これらは法律用語でいうところの「遺言事項」に該当し、法的な効力が生ずるとされています

たとえば、以下のようなものがあります

●非嫡出子の認知
●未成年後見人や後見監督人の指定
●相続人の廃除や取消
●相続分の指定、指定の委託
●遺産分割方法の指定や遺産分割の禁止
●遺贈に関すること
●生命保険の受取人の変更
●遺言執行者の指定
●特別受益の持戻免除

一方で、遺言として残しても法的に意味がないものもあります

「家族みんなで仲良く暮らすように」「兄弟みんなでお母さんのことを助けてあげなさい」「先祖代々の土地は長男に相続させるが、長男が亡くなった後は二男に相続させる」などは、たとえ遺言書に記載をしたとしても法的拘束力を持ちません

ただ、遺言書で自分亡き後に残された家族に意思を伝えたいという人は多いものです。こうした内容は「付言事項」として遺言書に書き残すことができます

先述したように、遺言書には何を書いても自由です。なかなか面と向かって言えなかったことを改めて伝えるために、「付言事項」として残せば、法的拘束力はなくとも、思いを伝えることは可能です

弊所でも、遺言書の作成をサポートする場合に、なぜそのような遺言書にしたのかの遺言者の気持ちを書いた方が、相続人の誤解を防止したり、相続がおきた際の紛争を防止したり、円満な相続を実現するためには良いと判断した場合には、遺言者にそのお気持ちやお考えを「付言事項」として記載することをお勧めしています。そういう意味で、付言事項はいわゆる「遺言」に近いニュアンスを持ちます

 

遺言書に書いてある財産や身分、相続についての内容が、必ず効力を生ずるかといえば、そうではありません。その遺言書が民法に則って正しい記載ができているのか、たとえば一般的な自筆証書遺言であれば、遺言者が遺言内容、自身の名前、作成日を自筆で書き捺印していなければなりません。財産目録以外は自筆であることが条件なので、財産目録以外の部分をパソコンで打った自筆証書遺言は無効となります

また、自筆証書遺言に訂正や加筆をするときには、単に二重線などで元の文を取り消して、上に書き足しただけでは不十分です。訂正したところに印鑑を押し、さらに遺言書のなかでどのように変更したのか(どの場所の文字を訂正したのか、何文字を削除し、何文字を新たに書き加えたのかなど)を付記、署名します。このような法律に沿った形式を守らなければ、単なる書き置きになってしまうのです

 

このように、遺言書では法的拘束力が発生する内容や要件が決まっています。要件の不備により無効になるリスクを回避するには、確実性の高い公正証書遺言での作成がおすすめです

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