#109 相続不動産の「相続登記」の義務化

不動産を相続したときには、被相続人から相続人に名義変更をする「相続登記」を行います

相続登記はこれまでは任意でしたが、法改正により2024年度をめどに義務化されることが決まったほか、登記の期限や登記を怠った際の罰則なども設けられています

実務でもご相談の多い相続登記の義務化。今回はこの相続登記の義務化について簡単にご解説します

 

土地や家屋など、不動産を相続した人は、「相続登記」(相続による所有権移転登記)を行います

登記申請の際は、不動産の所在地を管轄する法務局に対して、「登記申請書」、「遺言書」や「遺産分割協議書」などの必要書類を提出し、登録免許税を納めます

相続登記は、現状では任意とされていますが、2021年4月に民法や不動産登記法の改正法が成立し、公布日である4月28日から3年を超えない日までに義務化されることが決まりました

相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請が義務付けられ、違反者に
は10万円以下の過料が科せられることになります

 

一方で、現在の手続きが煩雑すぎるという声もあるため、手続きの簡略化も予定されています

今回の改正の背景には、相続登記がされないまま所有者不明の土地が増加していることがあります。これが公共事業や民間の土地取引の妨げになっていることが、問題視されていました

もちろん、相続登記をしないことは、相続人本人にとってもデメリットとなります

名義が故人のままでは、売買や賃貸に出すなど不動産の積極的な活用が難しくなりますし、ローンや借入金の担保にすることもできません。そしてなにより、相続登記を放置すると、代が進むごとに相続人の数が多くなっていきます。そうなると、いざ登記手続きをしようとしたときに権利関係が複雑になり、話が進まないおそれもあります

もし、すでに権利関係が複雑な不動産があるとしたら、早めに手を打ったほうがよいでしょう

 

相続は死亡を契機に所有権が移転しますが、生前に所有権を移転させる手段として贈与という選択肢もあります。不動産の贈与についても、所有権移転登記を申請することができます

贈与の場合は、相続した場合とで登録免許税の税率が異なる点に注意が必要です

相続の登録免許税は固定資産税評価額の0.4%なのに対し、贈与の場合は2%で、相続時に比べて5倍の金額がかかります。このほか、贈与では贈与税や不動産取得税がかかり、相続に比べて税金の額が大きくなる可能性があります

相続と贈与のどちらを選ぶにしても、その違いをよく理解しておくことが大切です。いずれの
場合も、登記申請を忘れずに行いましょう

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