#40 遺言書の内容と異なる遺産分割協議はできる?
Q. 父が亡くなり、遺言書が見つかりました。しかし遺言書の内容に納得がいかないため、そのとおりに相続を進めずに、相続人間で話し合って遺言書と異なる遺産分割を行いたいと考えています。それは可能でしょうか?
A. 遺言書の内容と異なる遺産分割協議をすることは可能ですが、条件によっては異なる分割ができないこともあります。また、不動産がある場合は登記の際に注意が必要です
遺言書に書かれた内容は、被相続人が亡くなったときに効力が生じます
しかし、相続人の全員が遺言書の内容を把握した上で、遺言書とは異なる内容の遺産分割を行うこ
とに合意している場合には、遺言書の内容と異なる内容で遺産分割協議をすることができます
この点国税庁は、『受遺者が事実上放棄をし、共同相続人間で遺産分割が行われたものとみる』としています
□異なる遺産分割協議ができない場合とは?
ただし次の場合には遺言書と異なる遺産分割協議はできません
(1)相続人全員の同意が得られていない
(2)相続人以外の受遺者がいて、その受遺者の同意を得られていない
(3)被相続人が遺言書の内容と異なる遺産分割協議を遺言書で明確に禁止している
(4)遺言執行者が設定されており、遺言執行者が遺言と異なる遺産分割協議に同意しない
(4)の場合には、一旦遺言書どおりの相続を行った上で、新たな契約として財産の移転を行う必要があります
□遺言書と異なる人物に不動産を相続させたい場合は?
遺言書に『Aに不動産を相続させる』と明確に相続人が指定されているが、遺産分割協議でBに不動産を相続させたい場合、
まず、Aに相続を原因とした所有権移転登記を行い、続いてAからBへ贈与、または交換を原因とした所有権移転登記を行います
ただし、A・Bが法定相続人で、特定受遺者でなければ、これにより新たに贈与税等が課税されることはありません
遺言書と異なる内容の遺産分割を行う際は、ケースによって異なるため、事前に専門家に相談してから対処しましょう