#47 不動産の「評価額」はどのように決定するの?

国税庁の調査によれば、相続財産の40~50%が土地や建物となっています

相続税対策をするためにも、所有する不動産がどれくらいの相続税評価額であるか、を知っておくことはとても重要です

では、不動産はどのように評価されるのでしょうか?

いわゆる時価?全国の公示地価が先日公表されましたが、その金額?

固定資産税の納税通知書に記載されている金額?

 

今回は、土地や建物について、相続税を計算する際の基準となる評価額について簡単にご説明します

 

■ 不動産の評価に関わる4つの基準

まず、不動産の評価基準には、公示価格、基準地価、路線価、固定資産税評価額などがあります。これらは、不動産鑑定士が法令に基づき調査した鑑定評価額等がベースとなっています

 

□「公示価格」「基準地価」

公共事業用地の取得等の指針となるもので、

「公示価格」は毎年1月時点での価格を3月に国土交通省が、

「基準地価」は毎年7月時点での基準値の価格を9月に都道府県が、

それぞれ公表しています

 

□「路線価」

「路線価」は、当該路線に面した土地の1㎡あたりの価格です。国税庁が毎年7月に公表します

公示価格の8割前後になるといわれています

 

□「固定資産税評価額」

固定資産税等を算出するための価格で、公示価格の7割前後になるといわれています

 

このように、不動産は同じものでも評価方法の違いによって異なる評価額で評価されます

「一物四価」などと言われる所以はここにあります

 

なぜこのように複数の評価額が存在するのか。それは簡単にいうと。評価額を使用する「目的」が異なるからです。

これらの中で、相続税の計算のなかで主に使われるのが「路線価」と「固定資産税評価額」です

 

■ 土地の評価額を計算する路線価の計算方法

最もシンプルに路線価を使って土地の評価額を計算すると

【1㎡あたりの路線価×土地の面積】で計算できます

 

もちろん、土地は個別性がとても強い財産ですから

たとえば、二つの道路に面している、土地の一部が崖地、形状が細長い、借地権がついている、など、いろいろな物理的・法律的な特徴があります

最終的には、それらも考慮して計算することになります

 

たとえば、貸宅地として賃貸に貸している土地があるとします

相続税評価上は、まずは更地として評価した後に一定の割合を「減額」します

なぜ減額するのか?それは、更地と異なり貸宅地は、所有者の自由な使用収益が制限されていることから、その制限に着目すると更地より評価は「下げる」べきだと考えられるからです

 

ところがたとえば鑑定評価などにおいては、むしろ更地より評価が「上がる」こともあります

何の利用も活用もしていない更地より、地代を生み出す収益不動産の方が価値が高いのは当然であり、そこに着目すると更地より評価が「上がる」べきだと考えられるからです

 

相続税評価上は、貸地は更地より評価は「下がる」方の考え方がとられているため、更地にしておくより貸宅地やアパート敷地として賃貸の用に供する方が相続税の「節税」になる、と広告宣伝される根拠はここにあります

 

なお。路線価が設定されていない地域では、倍率方式という計算方法を使用します

これは、たとえばその土地の評価倍率が1.1倍ならば【固定資産税評価額×1.1】と計算します

 

路線価地域なのか、倍率地域なのか、は国税庁のHPで確認できます

http://www.rosenka.nta.go.jp/

 

 

■ 建物の評価額の計算方法

建物は、固定資産税評価額を用いて計算します(評価時点で建設中で固定資産税評価額が判明しない場合などは、建物の課税時期までにかかった額の7掛けで評価します)

建物も、土地と同じように、たとえば賃貸に貸しているなどの事情があれば評価上は考慮して計算します

 

 

■ 配偶者居住権の評価

2018年に相続法の改正案が成立し、被相続人の配偶者に自宅建物での居住継続する権利を認める「配偶者居住権」が創設されました

 

この制度では、配偶者居住権とそれ以外の「負担付き所有権」に分けて建物・土地を評価。「負担付き所有権」は配偶者居住権の部分を差し引して評価します

 

 

相続税対策を検討する上で、そもそもの不動産(特に土地)の評価額の計算を間違えてしまうと、その誤った情報に基づいて行った意思決定も見当違いなものなってしまいます

 

土地の相続税評価額を算出する場合は、きちんとした専門家に相談することをお勧めします

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