#72 子の配偶者を養子にすることのメリット・デメリット

遺産を子の配偶者に相続させる方法としてはさまざまなものがあります

たとえば生前に遺言書を書いておくことなどです

その他の方法として、子の配偶者と生前に養子縁組をしておく方法があります

養子縁組をすれば子として法定相続人になるため遺産相続権が発生します

しかし養子縁組にはメリットもあればデメリットもあります

そこで今回は、子の配偶者と養子縁組をする際に押さえておきたいことを簡単に紹介します

 

養子縁組には、次のようなメリットがあります

■基礎控除額・非課税枠が増えるため相続税の節税につながる

養子縁組をすることによって法定相続人が増えるため基礎控除の額が増えます

また、生命保険の非課税枠などの額も増えます

そのため、上限はありますが相続税の節税効果を認めることができます

 

■子の配偶者は実親の法定相続人にもなれる

 

養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組の2種類がありますが、子の配偶者が養子縁組をする場合は普通養子縁組となります

普通養子縁組の場合、養子縁組後も実親との親子関係は継続するため、実親の相続の際にも法定相続人としての立場に影響はありません

これは養子縁組する配偶者にとってもメリットといえるでしょう

 

一方で、養子縁組には次のようなトラブルに発展する可能性が指摘されます

■離縁がむずかしい

たとえば子と配偶者が離婚したような場合には、それに伴って養子縁組関係を解消したいと感じる方も少なくないでしょう

つまり一旦、養子縁組をしたもののあとで養子縁組を解消したくなった場合、

養親の一存や、養親から養子への一方的な通告で養子縁組を解消できるわけではありません

縁組の解消には両者同意のもと『養子離縁届』を役場に提出することが必要になります

話し合いによる離縁の合意が調わなければ調停や裁判になることもありますが、

いずれにせよ養子縁組は必ずしも簡単に解消できるわけではないことに注意が必要です

 

■ほかの相続人との争いが起こる

よく誤解されている方もおられますが、養子の数に制限があるのは相続税を計算するうえでの法定相続人ということであり、

民法では養子の数に制限は設けられておりません

とはいうものの、養子縁組は「子」が法律上増えるわけですから、他に実子がいる場合などでは

「なぜこの人を養子縁組をするのか」と不公平感を抱く可能性があります

将来的に他の相続人との争いの火種になりかねません

 

■子の配偶者の親族に財産が渡る可能性がある

子の配偶者を養子縁組した場合、ほかの相続人たちと同じく法定相続人の権利を得ることになります

もしその養子が不動産などの遺産を相続した後にその養子が亡くなった場合、場合によっては養子の親族側にその財産が渡ることになります

 

 

子の配偶者を養子縁組することにはメリットだけでなく、後々のトラブルにつながる可能性が高いことにも注意しましょう

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