#16 相続手続中に新たな相続が起きても慌てない!「数次相続」をシミュレーションしておこう
相続はいつ発生するか誰にもわかりません。ときには、夫の相続が発生し、遺産分割協議や相続手続が終わらないうちに、妻や子が亡くなってしまうというケースがあります。
このように、相続が続いて起こることを「数次相続」といいます。
今回は、数次相続についてシミュレーションしておきましょう。
□ 数次相続で新たな相続人が増えることも
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。相続人が一人でも欠けた状態で協議をしても、遺産分割協議そのものが無効です。
それゆえ、相続手続においては、誰が相続人なのかを確定させることが重要です。そして数次相続が起きると、相続人が増える可能性があります。
たとえば父が亡くなったとします(一次相続)。その相続人は、母・長男・二男の3人でした。
ところが父の相続にかかる遺産分割協議が終わる前に長男が亡くなってしまった(二次相続)、とします。
長男の死亡により、長男が相続する遺産は、長男の相続人にあたる妻・孫が相続することになります。
数次相続が発生している場合、遺産分割協議書はどのように作成すればいいのでしょう。
まず、一次相続の遺産分割協議を、母・二男・長男の妻・孫の4人で行う必要があります。
そして別途、二次相続の遺産分割協議を、長男の妻・孫の2人で行います。
一次相続の遺産分割協議書を作成する場合、すでに亡くなっている長男の欄に「相続人兼被相続人○○」などといった形式で記載されます。長男はすでに亡くなっているため、署名捺印をすることはできません。
代りに長男の相続人2名が署名捺印を行います。協議書にも「相続人兼被相続人○○の相続人●●」などというように記載します。
□ 相続手続を放置すると、数次相続で問題が複雑化する
数次相続は、親族が短期間に相次いで亡くなると発生しますが、相続手続を放置していて起こる場合もあります。
相続手続が放置される原因の一つとして、遺産分割協議をきちんと行わないことが考えられます。
遺産分割協議を行わない理由は
・一次相続では、遺産分割について特に揉めることが想定されなかった(から協議書を作成しなかった)、
・遺産分割協議が難航し、そのままほったらかしにした、
・遺産分割協議書を作成することの必要性をよく理解していなかった
などが考えられます。
相続の都度、きちんと相続手続を済ませておかないと
相続人が増加したり、権利関係がより複雑になったりして
遺産分割協議を成立させることが(事実上)不可能になってしまいます。
専門家の力を借りて、問題解決にあたりましょう。