#138 遺産に不動産が含まれる場合の相続
死亡した人の財産の中に自宅以外に投資用物件や賃貸物件を所有している場合、
その物件から管理費や諸経費を上回る収益が出ていれば相続財産として価値があるといえますが、
不動産を所有すればするほど赤字が出るような物件であれば、それを相続する相続人にとって将来にわたり大きな負担となります
また、その不動産が、相続人の居住地から遠くの場所にある別荘や、空室リスクの高い賃貸物件などの場合も、
ゆくゆくは相続した人の負担になる可能性があります
空き家の期間が長く、定期的に利用者や管理者がいなかった物件は、建物がどんどん劣化するため、
自然災害などで倒壊する危険があり、それが隣の家にも損害を与えてしまったり、あるいは放火の被害に遭ったりするなどのリスクも考えられます
近隣に何らかの損害を与えてしまった場合は、その不動産の所有者が損害賠償を請求されるなど、相続人が思わぬ損害を被る可能性があります
相続人の立場で考えた場合、価値が見込めない不動産は「相続放棄」をするという選択肢もあります
相続放棄をすると、最初から相続人ではなかったという扱いになるので、不要なものを引き受ける余地がなくなります
ただし「この財産は相続したいけど、この不動産は要らないからこれだけ〝相続放棄〟をする」のような選択はできませんので、ご注意ください
相続放棄をしても、直ちにその不動産が完全に手離れするというわけではありません
相続放棄をした後、ほかの相続人がいる場合は、その人がその不動産を実際に管理し始めるまでは、相続放棄をした者が、その財産の管理を継続しなければならないと民法で定められています
もし管理責任が発生した場合、自己の財産と同一の注意をもって行うことになります
たとえば、塀や屋根が壊れそうなら修理をする必要があり、近隣から苦情が来たら、対応しなければなりません
その際にかかる費用は全て自己負担になるため、相続放棄をしたとしても安心はできません
相続が発生してから、価値のない不動産の存在が明らかになると、遺産分割協議で揉める原因にもなります
不動産を所有している場合には、その内容を事前に相続人に開示しておきましょう
資産価値がない不動産は生前に処分を検討するにしても、買い手を見つけるのが困難もしくは相当の時間を要するなどの問題が発生することもあります