#134 離婚と贈与 離婚が先か贈与が先か?

■夫婦間の贈与にも贈与税がかかります

誕生日やクリスマスなど、配偶者にプレゼントを贈る機会はありますが、夫婦間の贈与にも基本的に贈与税はかかります

ただし、いかなる場合にも贈与に対して全て贈与税が課税されるわけではありません

たとえば、夫婦間や家族間には相互に扶養義務があるため、生活費や教育費に充てるための財産で必要な範囲であれば贈与に贈与税はかかりません

しかし不動産のような高額な財産となれば、暮らしに必要な範囲とはいえないため、基本的には課税対象となります

ただし、夫婦間の不動産の贈与についても、贈与税の「配偶者控除」の規定が設けられており、基礎控除額110万円のほかに最高2000万円の配偶者控除が受けられます

贈与税の配偶者控除が適用される要件は次のとおりです

●婚姻期間が20年以上であること
●その夫婦が今までに配偶者控除を受けていないこと
●居住用不動産または居住用不動産を購入するための資金のいずれかの贈与であること
●贈与を受けた年の翌年3月15日までにその居住用不動産に居住し、その後も居住し続ける見込であること
●贈与税の申告をすること
●法施行地に有する土地等又は家屋であること

ただし、贈与税の配偶者控除は、婚姻期間中の贈与に対して適用されます

たとえば離婚した後で自宅不動産を元配偶者に贈与した場合は、本控除規定の対象外となり、定められた贈与税がかかります

 

■離婚時の財産分与には原則として贈与税がかからない

夫名義の自宅不動産を妻に生前贈与したのち、間もなく離婚することになってしまった場合、渡した不動産に関する贈与税は課税されるのでしょうか? もしくは、離婚後に不動産を贈与する方が理想的なのでしょうか。渡すタイミングによる課税金額が異なることになります

夫婦間の不動産の生前贈与は、贈与が離婚前にしたものか離婚後にしたものか、によって、贈与税の金額は大幅に変わってくることがあります

配偶者に不動産を渡す意思がある場合は、離婚時の財産分与が有効です。なぜなら、離婚時の財産分与には、基本的に贈与税はかからないからです。婚姻中に築いた財産は夫婦の共有財産であり、離婚後の生活に必要なものとして扱われます。離婚時に金品を渡す場合は「贈与」ではなく「分与」の扱いになります

財産分与請求権には離婚してから2年の除斥期間が定められています

財産分与のつもりでいても、状況によっては贈与と見なされることがあります

以下に当てはまるケースでは、離婚時でも贈与税が課税されることがあります

●分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる金額の場合、多過ぎる部分が課税の対象となる

●離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合

 

また、財産分与が土地や建物など金員以外のものでなされたときは、分与「した人」に譲渡所得の課税が行われることになります。この課税関係はともすれば検討から漏れがちですので注意しましょう

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