#112 デジタル遺品の整理
□デジタル遺品にはどのようなものがあるのか?
高齢者でもパソコンやスマートフォンを日常的に使うことが多くなっている昨今、『デジタル遺品』の問題が注目を集めています
デジタル遺品とは、亡くなった人がパソコンやスマートフォンなどのデジタル機器のなかやクラウド上に保存していたデータ等のことです
デジタル遺品にはさまざまなものがありますが、たとえば次のようなものがあげられます
●オンラインサービスのIDやパスワード
●ネット銀行やネット証券の取引データ
●ネットショッピングの利用履歴
●SNSのアカウントや投稿データ
●友人・知人の連絡先
●メールやチャット等のやりとり
●写真や動画
●日記やメモ
デジタル遺品の特徴は、デジタルデータの状態であることから、その存在や内容が相続人含め本人以外の第三者から把握しづらいことです
そのため相続手続の段階において、被相続人の金融資産や各種サービスのアカウントなどの存在が把握できず、その結果、遺産手続の対象から漏れてしまうなど相続手続が適切に行われない事態が発生します
□デジタル遺品に関連して起こりやすいトラブルとは?
デジタル遺品を遺族が引き継ぐ際トラブルに見舞われることがよくあります。
●デジタル遺品を把握できない
たとえば、被相続人が親族などに内緒でネット証券で株式投資をしていたり、ネットバンクに口座を開設して資産を移動していたりすることがあります。スマホやパソコン上にアプリやブックマークなどの痕跡が残っていない場合、相続人はデジタル遺品の存在を知ることすらできません
●IDやパスワードを相続人が知らない
セキュリティの観点から、IDやパスワードをメモなどで残していないこともあります
●有料サービスを解約できない
サブスクリプションサービスなどのように、一度契約した後は契約が自動更新されるサービスが増えています。サービスの利用状況や解約に必要な情報がないと、料金の引落が続いたり、解約手続が煩雑になったりする可能性があります
遺産の承継手続において、デジタル遺産に財産的価値がある場合などは、その手続の対象から漏れることはできるだけ避けたいものです
そのためには、エンディングノートなどを利用して、利用しているサービスや簡単な内容、契約先、IDやパスワードを紙に書くなどして保管し、家族に保管場所がわかるようにするなど、所有者本人による対策が必要です