#104 相続税額を算出するための相続財産の評価について

相続が始まったとき、まず行うのが「相続人の確定」と「相続財産の確定」です

このうち相続財産の確定の作業において、相続財産が相続税の基礎控除額を超える場合には、特定した相続財産の評価を行い相続税評価額を算出して、相続税を計算する作業が発生します

今回は『相続財産の評価』について簡単にご説明します

 

相続財産には、預貯金や不動産のほかさまざまな種類がありますが、相続税を計算するためにはこれら『相続財産の評価』を行います

相続財産の評価額は、国税庁が定めた『財産評価基本通達』というルールに基づいて計算し、その『相続税評価額』を基に相続税額を計算します。

 

ここでは、特に複雑な「不動産」、「株式」、「保険」の評価方法について簡単にご説明します

●「不動産」の評価

土地や建物などの不動産は、国税庁が定めた評価方式で評価を行います

土地の場合は、路線価(その道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額)が定められている地域であれば、これを基にした「路線価方式」で計算します

路線価は毎年7月に国税庁より公表され、公表年の1月1日から12月31日までの土地の相続税評価額に用いられます

路線価が定められていない場合は「倍率方式」というその土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じる方法で計算します

路線価は、一般的に公示地価の8割程度とされており、売買価格よりも低い金額になる傾向にあります

実際の相続税申告においては、土地の形状が不整形、2以上の路線に面している、貸している、評価特例の要件を満たす、などの各土地毎の法律的・物理的事情を加味して評価額を算出するため、一般の方が独力で財産評価を行う場合、そこまでの評価作業を行うのは難しい部分もありますが、評価額の概算額を算出する程度のライトな使用目的での評価作業であれば十分に行えます

建物の場合は、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります

 

●「有価証券」の評価

有価証券には、株式や社債・公債、投資信託などの証券などが含まれます

原則として、相続税評価額は相続開始時の時価で評価されますが、有価証券は種類により評価方法が異なります

たとえば上場株式の場合、被相続人の死亡日の終値、課税時期の月の毎日の最終価格の平均額、課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額、課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額という4つの値を比較したうえで、最も低いものを評価額に用いることができる納税者有利の規定がされています

一方、非上場株式の場合は市場価格がついていないため、会社規模・決算状況・過去の配当実績などから算出されます

有価証券の算出方法は複雑なので、専門家に依頼したほうがよいでしょう

 

●「保険」の評価

ここでは生命保険契約に関する権利の評価についてご説明します

生命保険には、加入していた生命保険を中途解約すると解約返戻金が戻ってくるものがあります

それと同じように、被相続人が自分以外の人を被保険者とする生命保険に加入し、死亡した場合には、加入者である被相続人が亡くなった日に解約した場合の解約返戻金に相当する額が評価額となります

実際には被相続人は自分が亡くなる日に保険契約を解約する(した)わけでもなく、その後に相続人が解約する(した)わけでもなく、解約しなければならないわけもありませんが、その保険契約の財産としての価額は、「もし仮に解約したとしたらいくら戻ってきたのだろうか」という解約返戻金の『相当額』が適当だからです

解約返戻金相当額は契約先である生命保険会社に問い合わせましょう

相続税額を計算するうえで財産の評価はとても大事ですが、評価が難しい相続財産もあります

弊社においても、特に複雑でかつ金額も高額になりがちな不動産についての評価については、役所調査・現地調査を行い、ときに不動産鑑定士などの専門家と共同で検討を行うことも多くあります

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