#88 未成年者が相続人に含まれる場合、遺産分割協議はどうすればよい?

相続が発生したとき、遺言書がなければ相続人全員で遺産分割協議を行うことになります

遺産産分割協議では、財産をどのように分けるかを相続人全員で話し合うわけですが、

相続人のなかに未成年者がいる場合、『特別代理人』と呼ばれる代理人の選任が必要となるケースがあります

今回はこうしたケースについて簡単にご説明します

 

遺産分割協議も法律行為です

遺産分割協議のなかで「私はこの家はいりません」「この財産はほしいです」などということを各相続人が自己の判断のもとで意思表示します

このような重要な法律行為も、十分な判断能力がある人であれば単独で有効に行うことができるでしょう

しかし『未成年者』などは一般的に判断能力が必ずしも成熟していないと考えられることから、民法の規定によりさまざまに保護規定が設けられています

そして遺産分割協議は、遺産をどうするかというとても重要で大切な法律行為であるため、

未成年者が相続人にいる場合、その未成年者を保護するため、未成年者は単独では遺産分割協議に参加することができません

ではどうすればよいのか?

重要な法律行為である遺産分割協議を未成年者に代理して行う代理人が実際には遺産分割協議に参加することになります

 

一般的に、未成年者の法定代理人は親権者である両親です

しかし遺産分割協議においては、その親権者である親が自身としても相続人であることがあります

そもそも代理人は、本人の利益のために行動するものです

しかし親と子がともに相続人になっている場合、親が自分の利益のために子どもにとって不利益な遺産分割を行うおそれがあります

両者は『利益相反関係』にたちます。そのためこのケースでは親は代理人になれないのです

遺産分割協議に関してのみのついての子の代理人として、特別代理人を選任することになります

特別代理人とは、家庭裁判所が選任する代理人のことです

遺産分割協議において未成年者と利害関係のない第三者がなることができ、一般的には弁護士や司法書士などの専門家や相続人以外の親族を特別代理人にするケースが多くあります

なお、未成年者が複数いる場合は、その数だけ特別代理人も必要です

たとえば夫が亡くなり、相続人は妻とその子3人の計4名だとします

夫の兄がどんなに信用できる方だとしても、子3人全員の代理人になることはできず、別に2名の信用できる代理人が必要になります

 

 

 

特別代理人選任の申し立てができるのは、親権者と利害関係人です。未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に、以下のような必要書類をそろえて申し立てます

●特別代理人選任申立書
●未成年者の戸籍謄本
●親権者(または未成年後見人)の戸籍謄本
●特別代理人候補者の住民票または戸籍附票
●遺産分割協議書案などの利益相反に関する資料

 

申し立てから審判結果が通知されるまでの期間は、約1カ月程度が目安とされています

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