#80 認知症対策としての成年後見

日本人の平均寿命は毎年伸びていますが、一方で、認知症になる高齢者も増えています

最近では、生物学的な平均寿命ばかりではなく、健康的な生活を送る「健康寿命」という考え方にも注目が集まっています

認知症になるとしっかりとした判断ができなくなります

売買や贈与などの法律行為を有効に行うためには「意思能力」が必要であり、

未成年者や認知症の方などは「行為能力」に制限が課せられており、このような制限行為能力者のなす法律行為に対して一定の保護を与えています

 

認知症の方は、その程度に応じてたとえば「成年後見人」をつければ、財産管理や法律行為について様々な支援や保護が受けられます

(用語として、認知症などになり成年後見人がついた方を「成年被後見人」といいます)

その内容について簡単にご説明いたします

 

成年後見制度は

まだ十分な判断能力があるうちに後見人をつける『任意後見制度』と、

認知症になった後で法的に後見人をつける『法定後見制度』とに分けられます

 

いずれの場合も、成年後見人が行うことができるのは、本人の療養看護に関する法的なサポートや、本人のための財産管理(処分など限定的)です

具体的には、成年被後見人本人名義の預貯金や不動産などの財産管理や処分、日用品の購入や支払、年金の管理、介護サービスの契約や支払、自宅の管理や賃料の支払などです

成年後見人は、成年被後見人の不利益になる行為はしてはいけないので、本人の財産を勝手に親族に贈与することや、本人が所有している不動産の積極的な運用や投資などは、原則としてできません

 

認知症には程度に波があり本人の症状が良くなるときもあります

「念のために成年後見人をつけておき、調子がよくなったら外せばいい」と軽く考えているとと注意が必要です

成年後見人を外すときには正当な事由がなければならず、裁判所の許可(申立や監督人の選定など)が必要になるからです

 

また、子や親族など、本人の近くにいて日常的に世話ができる人が成年後見人になるケースもあれば、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するケースもあります

後者の場合は報酬が発生し続けることも考慮しなくてはなりません

 

成年後見制度の利用については慎重に判断することが肝要です

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