#70 せっかくの暦年贈与。名義預金とみなされないためには

年間110万円までの贈与であれば贈与税が非課税となる暦年贈与制度

この制度を利用して相続対策・相続税対策をしている方も多いかと思います

しかしきちんとした生前贈与を行わないと、いわゆる名義預金に該当して相続財産として相続税が課税されてしまうこともあります

そこで今回は名義預金について簡単に解説したいと思います

 

自分が先立った後、妻が生活に困らないように、妻の預金口座に自分のお金を移しておく

孫の将来のために、孫の名義で預金口座を作って、自分のお金を移しておく

相続税対策としてこのようなことを行っている人もいるかもしれません

 

しかしこのような行為は、単に資金を他人名義の口座へ移動しただけであり、それだけでは法律的にも税務的にも贈与があったということはできないでしょう

このような、形式的な名義は他人名義であっても、実質的には本人の財産のままのものについては、「名義財産」「他人名義借財産」などといわれ、本人に相続がおきたときには本人の遺産として相続税の課税される遺産に含まれます

 

たとえば次のようなものは名義預金とみなされる傾向の強いといえるでしょう

●自分の口座にお金が移動されていることを預金名義人が知らない

●当該口座の預金通帳や銀行印などを預金の名義人ではなく被相続人が所有・管理しており、預金の名義人が財産を処分することができない

●本人が入院中であったり高齢で判断能力が薄くなっていることを利用として本人の口座から勝手に引出をして自分の口座に移動している

 

せっかく相続対策として贈与を行っているのに、のちに名義預金だとみなされてしまうのは本意ではありません

もし預貯金の生前贈与をするのであれば、次のような事項に留意して有効な生前贈与を実行しましょう

●預金名義人が通帳や銀行印を所有しており財産が名義人の自由意志のもとで自由に使用処分できる状況にあるようにする

●贈与の都度贈与契約書を取り交わして後日の立証に備える

●贈与税の申告を行う

 

暦年贈与を上手に活用して相続税対策を行いましょう

 

メールでのお問い合わせはこちら