#68 相続人と連絡がとれない?!相続手続はどのようにすすめればよいか
他の相続人のなかには、連絡がとれなかったり所在がわからない相続人が出てくることがあります
特に被相続人が高齢の場合は相続人間で長年音信不通になっていることも多く、所在だけでなく生死も不明になっていることがあるでしょう
このような場合はどのように相続手続を進めればよいのでしょうか
被相続人の遺言書が残っていない場合、相続人全員で遺産分割協議を行うことになります
遺産分割協議は相続人全員が参加して行わなければ法律的に効力がありません。つまり相続人に行方不明者がいると遺産分割協議を進めることができません
そこでまずは、行方不明相続人を見つけるための働きかけが必要となります
一般的な進め方としては、行方不明者が最後にいた住所がわかればそこへお手紙を出す、電話番号がわかればそこへかけてみる、などをして、行方不明者へのコンタクトを試みます
それでも不明者が見つからない場合は、『不在者財産管理人』を選任する手続に移行することになります
不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人のことで、一般的には利害関係のない第三者が選任されます
被相続人の親族のうち相続人ではない人や被相続人の友人、行方不明者の親族、あるいは弁護士や司法書士などが候補となるケースが多いでしょう
不在者財産管理人の選任後、家庭裁判所に『権限外行為の許可』の申し立てをし、許可を受ければ、不在者財産管理人が行方不明者に代わって遺産分割協議に参加することができます
もう一つの方法として、7年以上(危難失踪の場合は危難が去った後1年以上)生死不明になっている相続人について『失踪宣告』を受けるという方法もあります
この方法を使うときには注意が必要です
失踪宣告が認められると、不在者は死亡したものとみなされるからです
不在者についての相続も始まりますし婚姻も解消されます
単に所在地がわからないだけで、死亡している可能性が低い場合には失踪宣告については慎重に判断しましょう