相続準備(3)名義変更手続

相続時にする手続きの一つが、被相続人の財産の名義を相続人に変更する作業です

 

名義変更が必要なのは、不動産のほか、預貯金・株式、自動車、会員権など多岐に渡り、その数の多さにとまどう方がほとんどです

今回は、この名義変更手続きについてご紹介します

 

□ 財産ごとに手順が異なり手続きが煩雑

相続が始まると、被相続人が生前所有していた財産は相続人に引き継がれます

(「だれが」「どの財産を」「どれだけ」引き継ぐか、を決めることを『遺産分割協議』といいます)

遺産分割協議が調うと、財産を引き継ぐ新しい所有者が確定します

そのため、被相続人で登記・登録されている名義を、新しい所有者に変更します

この手続きが、名義変更手続きです

 

この名義変更が必要な財産は、非常に多岐に渡ります

まずは、被相続人宛ての郵便物や通帳の取引履歴などを調べて相続財産を確定するとともに、名義変更が必要な財産をすべて洗い出さなくてはなりません

この名義変更手続きには、多くの相続人が苦労しています

それは、名義変更が必要な財産の数が多いうえ、手順や必要となる書類、手続先、期間などがそれぞれ異なるからです

 

必要な書類として、たとえば、被相続人の生まれてから死ぬまでの戸籍謄本や、相続人全員の最新の戸籍謄本、新しい名義人となる人の住民票、遺言書または遺産分割協議書などがあります

遺産分割協議書を添付する場合には、さらに相続人全員の印鑑証明書も添付しなければなりません

遺言書がなければ、遺産分割協議をしてから名義変更の手続きとなりますが、遺産分割協議がまとまるのにも一定の時間がかかってしまうのです

 

□ 先延ばしになりがちな不動産の名義変更

相続税の納税期限は10カ月となっていますが、名義変更自体は10カ月を超えてから行ったとしても罰則などはありません

そのため、特に不動産などは、亡くなった被相続人名義のままにしているだけでなく、なかには数代に渡って名義変更を放置しているケースもあります

しかし、名義変更をせずに放置して時間が経つと、当初の相続人が亡くなりその相続人と遺産分割協議が必要になることがあります(数次相続)。相続関係が複雑になり、相続人の数も増え、連絡がつかなかったり行方知れずの方も出てくるかもしれません。また一部の相続人から協議内容に合意が得られなくなるなど、そもそも遺産分割協議が成立しないこともあります。

 

現にわが国の相続登記が何らかの理由で未了のままの不動産が多数存在しており、各地で問題になっています

 

名義変更は、遺産分割が調ったらできる限り早く取りかかりましょう

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