相続準備(1)原戸籍の取得
相続が起きた際、「相続人の確定」という作業が必要になります
その際に必要になるのが、被相続人の戸籍です
戸籍は市町村役場で取得します。しかし手続に不慣れな相続人にとってこれは時間と手間のかかる作業となり、相続準備において戸籍・原戸籍の取得は大きな負担となっています
今回は戸籍の取得について簡単に解説します
□被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要
相続が起きた際には、『相続人』と『相続財産』の確定作業を行います
配偶者は常に相続人になります
第一順位として子、子がいない場合は第二順位として両親、両親もいなければ第三順位として兄弟姉妹が相続人となります(代襲相続については説明を省略します)
まずは被相続人が生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍を取得して、相続人の存在を調査・確認します
仮に代襲相続が生じている場合は、以前に亡くなった相続人の戸籍の確認も必要となってきます
□相続人の確定のためには『原戸籍』も必要
戸籍は法改正の際につくり直され、つくり直される前の古い戸籍を『改製原戸籍(または原戸籍)』と呼びます
相続人の確作業においてはこの原戸籍を取得しなければなりません。なぜなら改製が行われる時点で婚姻、離婚、死亡などの理由で戸籍から抹消されていた場合、改製後の戸籍にはそれが引き継がれていないためです
改製原戸籍がなければ、婚姻や死亡などの事実確認ができない可能性があります
□原戸籍の取得には手間・時間がかかる
相続手続に必要な原戸籍ですが、その取得にはかなりの手間や時間、費用がかかるので注意したいところです
たとえば結婚や離婚、引っ越しなどで本籍地を移転していれば、それだけ取得する戸籍が増えることになります
相続人が多い家族、婚姻・離婚のある家族関係では、取得に数カ月かかることも珍しくないでしょう
また、市町村の統廃合があった場合、そもそもの管轄の役所を確定することが大変なこともあります
相続税の納税期限は相続開始を知った日の翌日から10カ月ですが、この戸籍一式の取得が遅れてしまったために相続税の申告手続が遅れたり、場合によっては期限に間に合わなかった、などというケースもあります
□法改正が予定されています
戸籍データを法務省のシステムでつなぐ改正戸籍法が成立しました。改正法によると、本籍地以外の市区町村でも戸籍が取得できるようになります(2024年頃を目途にの運用開始予定)
そのため本籍地以外の自治体で戸籍を請求できるため、遠方の役場まで自ら出向いたり郵送したりして請求する必要がなくなります
ただし対象は、自分と直系尊属(父母・祖父母など)と直系卑属(子・孫など)の戸籍の取得となっており、兄弟姉妹や叔父伯母などの戸籍は従来通りの取得方法になりそうです