#29 「名義預金」とみなされないためには

「愛する家族にお金を残してあげたい」と、配偶者や子、孫などの名義で預金口座を作り預金をその口座に移し替えている方は珍しくありません

 

しかし、その方が亡くなった後、たとえば税務調査等によってその財産が「実質的に」亡くなった方のものだとなれば、相続税の課税対象の遺産になります

 

このような預金を、名義預金、名義借預金などと表現することがあります

 

■ 名義預金は相続税の課税対象!

形式的には、配偶者や子、孫など被相続人以外の方の名義になっていたとしても

実質的に名義人と異なる方が支配・管理している財産について、

被相続人の名義預金にあたらないか、という視点で税務調査がなされることあります

 

名義預金と判断される財産に対しては、相続税が課税されます

 

■ 名義預金の判断基準

名義預金は、たとえば次のような基準により判断されます

● 通帳・印鑑の管理は誰が行っていたか、
● 預金の原資は誰が負担していたか、
● 受取利息は誰が費消していたか、
● 贈与税の申告をしているかどうか、

 

たとえば

「通帳の保管場所や印鑑を預金の名義人本人が把握していない」、「名義人本人が口座の存在を知らない」、

であれば、預金を管理していた人の財産として扱われる場合があります

 

妻や子などの名義の預金は、その財産形成の原資がどこなのか、という点も重要です

たとえば被相続人の口座から単に振り替えられているのであれば、名義預金とみなされる可能性が高くなるといえるでしょう

 

専業主婦や未成年の子、孫など、口座名義人に収入がない場合、

これらの者の名義の預金残高が増える理由として、夫(父)からの贈与によるものが多いからです

 

この場合、贈与税の申告がなされていないと、名義預金と疑われてしまうかもしれません

 

では、名義預金とされないためには、どのようにすればよいのでしょうか?

 

■ 名義預金とみなされないための対策例

 

まず、配偶者や親などから、見知らぬ自分名義の口座の存在を知らされた方は、

“通帳と印鑑を自分で管理するようにする”、“自分の口座なので、自由に引き出してお金を利用する”といった対策が有効です

その金額が、贈与税の基礎控除額を超える場合には、あわせて贈与税の申告と納付を行います

 

ただし長期に渡り少額ずつ資金移動した名義預金であっても、もらう側に認識がなかった場合には、その場で預金額を一括贈与したと判断される場合もあります

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