#27 財産管理・遺産承継の手法である「民事信託」

65歳以上の高齢者の4人に1人は、認知症及びその予備軍になると言われています。医療の発達により生物学的な平均寿命は長くなっていますが、必ずしも平均寿命の延びが意思能力の保持をともなうとは限りません。むしろ、認知症になった後の時間が長期化している、という言い方もできるでしょう。

もし相続人の中に認知症の方がいる場合、遺産分割はどうするのか?

そもそも、収益物件を保有している方が認知症になった場合に、財産の処分行為(ex,売却)だけでなく、管理や運用(ex,賃貸人との賃貸契約の取り交わし)はどうなるのか?

 

近年、注目されているのが『民事信託』という制度です

 

■ 民事信託とは

「信託」というと、信託銀行を思いつく方もいらっしゃると思いますが、

ここでいう民事信託とは、簡単に言うと、家族や親族に親が自己の財産の管理を任せる制度のことです

ですので、信託銀行で行う信託とは内容が異なります

 

遺言の場合、親が亡くなった後に、その財産をだれが相続するのか、を書き残すものです

親の生前から子がその財産を把握することができないことが多いですし、誰にどのように承継されるのかは、実際に親が亡くなった後にしか決めることができません

その点、民事信託であれば、親が自ら設定した信託の内容に基づいて、

親が生きている頃から亡くなった後の2代3代先の世代まで、

受託者による財産の管理運用が実現できる、という特徴があります

 

■ オーダーメイドの民事信託

民事信託は、家族構成やその目的に応じてオーダーメイドで設計します

実際は、司法書士や専門家と一緒に、民事信託の構成についてじっくり検討します

 

まず専門家が財産に関して聞き取り調査をします

そして作成した財産目録をもとに、財産の生前運用から相続などに関してのニーズに合った信託契約書を作成します

 

そして信託が始まれば、委託者が信託財産を管理することになります

委託者には、親の子や親族がなることが多いと思います

 

たとえば、親の介護費用や生活費は、委託者が管理している信託財産から供出、

将来的に相続が発生した際は、生前に作成した信託契約書に拠り遺産分割が行われます

 

親族と一緒に信託を検討し進める場合には、

本人の生前の財産運用から、遺産分割、場合によってはその先の相続まで、

親族が納得した状態で進められるので、相続が開始しても争いにくくなる効果があるといえます

 

■ 認知症対策になる

例えば、親が認知症になったとします

その場合、たとえば成年後見人をつけることが考えられますが、

場合によっては、(たとえ認知症になる前の親自身の意向に合致していたとしても)

財産の活用や処分に制約になることがあります

 

しかし、認知症になる前に民事信託を利用し、たとえば子どもが親の財産の管理や処分について委託されていれば、信託契約の目的に沿った財産運用が可能になります
資産家の認知症対策、将来の争族を避けるための相続対策 として民事信託が注目されています

 

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