#21 法定相続人以外のひとへの生前贈与

近年では高齢の親よりも先に子どもが亡くなり、子どもの資産を親が相続するということがしばしばあるようです。このようなケースの場合、きちんと対策しないと残された子どもに多額の相続税が課税される可能性があります。

 

■ 1億5,000万円の資産を95歳の母親が持つことに

一郎さん(65歳)の家族には、結婚をしておらず子どもがいない弟の次郎さん(60歳)と、母(95歳)がいました。
次郎さんは1ヵ月前に肺がんで他界。

次郎さんの身辺整理をするために資産を計算してみると、なんと預貯金で1億円もありました。母と一緒に住んでいた次郎さんは、老後の生活資金のためにコツコツと貯蓄をしていたのです。

子どもがいない次郎さんの遺産は母親に相続されますが、

母には父(一郎さんと次郎さんの父)から以前に相続した遺産5,000万円がすでにありました。

 

母も高齢なので数年後には亡くなる可能性があります。そうなると1億5,000万円の遺産は一郎さんに相続され、相続税が課税されることに。

控除額は相続人の数が多いほど増えますが、相続人は一郎さんしかいませんので相続税が高額になると予想されます。

 

この場合、相続税の負担を軽くするどのような方法が考えられるでしょうか?

 

■ 生前贈与をうまく活用して相続税を抑える

もし一郎さんに子どもや孫がいるのであれば、母からの生前贈与を上手に活用すると相続税負担を軽減できるかもしれません。

その生前贈与は、母から一郎さんへではなく、一郎さんの子どもや孫へ生前贈与するのです。

その理由は、「相続財産の3年以内加算」の規定があるからです。

この規定は簡単にいうと、相続開始前3年以内に、法定相続人や遺言書で遺贈を指定された人が、被相続人から財産を贈与されていた場合には、その相続前に贈与した財産も課税財産として加算され相続税が課税される、というものです。

 

将来母が亡くなった場合に、母から一郎さんに生前贈与をしていたとしても、母が亡くなる前3年内のものについては一郎さんは相続税を負担することになります。
一方で、仮に一郎さんではなく一郎さんの子どもや孫に生前贈与をしていれば、一郎さんの子や孫は母の法定相続人ではないので、贈与から3年以内に母が亡くなったとしても課税財産として加算されないのです。

 

教育資金の一括贈与制度など、生前贈与の手法の中には非課税となるものがあります。

うまく活用すれば相続税を抑えられるのです。

 

 

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