#14 親子間で不動産を時価よりも低い価額で売買すると、贈与税がかかる?
□「低廉譲渡」は親子間の不動産売買でよく行われる
一般的には、第三者間では世間の相場より著しく安い価格で不動産売買が行われるケースはあまりありません。
一方、親族間、特に親子間では、不動産をその価値よりも著しく安い価格で売買すること(「低廉譲渡」)が行われることがあります。
子どもは財産を安く取得でき、親は不動産売却した譲渡所得にかかる税金を軽減できるからです。
税負担が減るから、という理由で親子間で時価よりも著しく安い価格で売買した場合、時価と売却価額との差額について、贈与したとみなされて贈与税がかかることがあります。
□「売買」の形式をとっていても、「贈与」とみなされることも
たとえば父親が時価4000万円の土地を長男に1500万円で売ったとします。
売買契約書を作成し、所有権移転登記の登記原因も「売買」としたとします。
このように、贈与としての具体的な形式をとっていなくとも、
低廉譲渡として、時価との差額2500万円が贈与とみなされるのです。
長男は、本来ならば土地を取得するのに4000万円かかるところ、1500万円の負担で済み、その分経済的利益が生じているからです。
結果、長男は810万5000円の贈与税を納税しなければならないことになります。
□「低廉譲渡」に明確な基準はありません
では、親子間などの特殊関係の個人間で財産を売買する場合、時価よりもどれくらい低い価格で売買したら「低廉譲渡」なるのでしょう。
これについては明確かつ客観的な判断基準は定められていません。