#13 二次相続対策は、夫婦どちらが先に亡くなるかで変わってくる

「二次相続」とは、夫もしくは妻が死亡して一次相続が完了した後、遺された配偶者が死亡したときの相続を指します。

 

一次相続と二次相続の間の期間は、一般的にはあまり長くありません。また、相続対策や遺産分割としてどちらか一方のみを勘案して行った場合、想定外のトラブルや税負担につながりかねません。

 

相続対策は、一次相続と二次相続の両方を考えておく必要があります。その際、夫の妻のどちらが先に亡くなるかで対策の内容も変わってきます。

 

一般的に、一次相続から二次相続までの期間は、「夫が先に亡くなり、妻が残される」ほうが「妻が先に亡くなり、夫が残される」よりも長い傾向にあります。また、財産の大部分は夫が所有していることが多いといわれています。

それゆえ、二次相続まで踏まえた相続対策は、夫と妻のどちらが先に亡くなるかで変わってきます。

 

 

<夫が先に亡くなった> ・・・残された妻の生活を考えよう

夫が先に亡くなった場合の相続対策です。

このケースでは、残された妻の生活が心細くなります。妻の生活を第一優先順位とした相続対策を考えましょう。

大事なのは、妻の生活費の確保です。

女性は男性より平均寿命が6歳ほど長く、もともとの夫婦の年齢差があると仮定すると、

最低およそ15年分の生活費が必要だといわれます。

 

妻の自己資金や年金等を勘案した上で

金融資産で生活費を確保できるよう対策を考えましょう。

その際、今後、妻に多額の医療費がかかることも想定し、資金には余裕を持たせておきましょう。

 

 

また、子が自宅を相続すると、妻は居候のように肩身の狭いを思いをするケースがあります。

安心して住めるよう、自宅は妻が相続もしくはする、もしくは子との共有として妻の持分を入れた方がいいかもしれません。

 

しかし必要以上に妻に(一次)相続財産が集中すると、二次相続のときに多額の相続税がかかってしまう恐れがあります。

妻と子で適度にバランスを取っておきましょう。

 

 

<妻が先に亡くなった場合> ・・・二次対策にウエートを置く

妻が先に亡くなった場合はどうでしょう。

夫は生活費に充てるための財産を持っていることと、二次相続まで期間が長くないことを加味し、

夫が亡くなった時の二次相続対策にウエートを置きましょう。

 

財産を多く持っていない妻が先に亡くなったら、相続税はかからないケースが多いかもしれません。

この場合、財産は可能な限り子に相続させることが税金上は望ましいです。

仮に夫が多く相続すると、二次相続のときに、夫固有の財産が加わる結果、多額の相続税が課される可能性があるからです。

 

夫が亡くなった際には、不動産などの多くの財産が動きます。円滑に進められるよう、分割しやすい状態にしておきましょう。

あらかじめ土地の測量や分筆を行っておくと、遺産分割の負担が小さくなります。

 

もう一つのポイントとして、一次相続が起きた時点から、暦年贈与を早めに始めておきましょう。

理由は、二次相続までの時間が短いことが予想されるからです。

相続発生前3年内の贈与は、相続税の課税対象になってしまうことを念頭に置きましょう。

 

 

夫婦のどちらかが先に亡くなるかは誰にも予想できません。

いずれのケースも想定してシミュレ-ションしておくことが必要です。

 

 

 

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